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UC級の試験に向けて、色のしくみについて長々とブログを書いてきましたが、ここからやっとアクセシビリティに関係した部分を書いていこうと思います。

色覚の特性


色の見え方は誰もが同じではありません。3つ(光、物、人)の条件で見え方が違ってきます。
その中で、「人」の要因によって、様々な「色覚特性」が生まれます。この「色覚の多様性」を理解することが「色のユニバーサルデザイン」を考えるための大切な一歩になります。

色を見るための人の眼の細胞のうち、3種の錐体(視細胞)が正常に動いている色覚を正常色覚といいます。

一方、色覚遺伝子の変異によって、3種の錐体のうちの一つ、あるいは稀に二つ、三つが欠損したり、働きが不完全となる場合があり、色の区別がしづらくなります。この色覚特性は先天性であり、年齢によって変化はしません。
また、後天的に目や脳の病気や頭部のケガや、ストレスなどの心因性で起こる、色覚特性もあります。

そして、人は加齢により色覚が変化します。眼の中の水晶体が老化により黄変し、短波長(青い光)を多く吸収し、青い光が網膜まで届きにくくなり、青系の識別力が低下します。

色覚の特性だけでなく、病気やケガによる視力低下や視野の欠損で生活に支障をきたすロービジョンという視覚状態もあります。


色覚特性の割合

先天性の色覚特性をもつ人の割合は、日本人男性の5%(20人に1人)、女性の0.2%程度です。
5%というのは、日本人のAB型の男性人数にほぼ匹敵し、色覚特性を持つ人はかなり多い割合といえます。

色覚特性は人種にも差があります。黒人男性では4%、白人男性では6〜8%ほどが該当します。日本国内の男女を併せて350万人、世界では約2億人が該当します。

色覚特性のタイプ

色覚特性のうち、1色覚(3種の錐体のうちの二つ、三つが欠損したり働きが不完全)は色みの区別自体がつきにくいため、色覚の配慮をする際は、3つの色覚特性と、正常色覚が対象となります。

1型色覚

3種の錐体のうち、波長の長い光(赤い光)への感度が高いL錐体に欠損もしくは働きが不完全な場合に起こる。
日本人男性の割合は1.5%

2型色覚

3種の錐体のうち、波長の中程度光(緑の光)への感度が高いM錐体に欠損もしくは働きが不完全な場合に起こる。
日本人男性の割合は3.5%

3型色覚

3種の錐体のうち、波長の短い光(青い光)への感度が高いS錐体に欠損もしくは働きが不完全な場合に起こる。
日本人男性の割合は0.001%と極めて少ない。

3型色覚は、黄色と青紫の違いや、青と緑、青と紫の区別がつきにくい特性ですが、日常生活において重要ではないことが多く、また多くが後天性であり、色覚の記憶があるため、日常生活の不便はあまりないと言われています。

したがって、色覚特性を配慮する際には、主に1型色覚と2型色覚について考えます。
大きくみれば赤系統と緑系統の区別がつきにくいという共通点があるため、配慮の基準がつけやすいようです。

では次は、実際の色で区別がつきにくいものを書いてみたいと思います。


先日、公式サイト上にて合格発表があり、無事「色彩検定UC級」に合格しました。
サイト上では番号の確認だったので、万が一見間違えていたら・・・と思い、ブログに書くのを躊躇していました。

昨日、合格証書と資格証が届き、やっとエントリーを書くことができました!8月28日にこのブログで宣言をしてから4ヶ月、「合格」の報告ができてうれしいです。
UC級の合格者には、色彩検定協会から資格を付与されますので、私は晴れて「UCアドバイザー」となりました。

みなさま今後ともよろしくお願いいたします。


先日、色彩検定UC級を受験してきました。

このブログで受験宣言をしてから3ヶ月弱、近頃はブログも停滞していましたが、細々と勉強を続けておりました。
UC級は始まったばかりの試験なので、過去問題集が昨年の1回分しかなく、その内容を熟読しつつ、未出題の内容をひたすら読み込むという勉強法をしてました。
帰宅後の解答速報サイトによる、自己採点を行い、すこしホッとしている状況です。

今回の試験を受けて気が付いた、というか常々悩んでいた私の視力が、この試験のテーマと同じく、今後配慮していくべき年齢に達したのだなという印象です。
あのマークシートの薄いオレンジの数字が見辛くて、あと鉛筆でマークした箇所が光で反射すると、ちゃんと塗れているのか分からないんです。塗りに時間がかかりすぎて、最後の問題が終わる頃には、制限時間5分前。最初から通して見直しする時間はありません。

私は現在、遠視のメガネをかけているのですが、もう年齢的には遠視なのか老眼なのかという状況なので、今回の試験は色々とギリギリでした。
そこで、まさに今回の試験で勉強した、「高齢者の色の見え方」を思い出しました。

  • 高齢者は色の弁別能力が低くなったり、色自体の見え方が若齢者と異なってきます。
  • 網膜に届く光の量は、20歳を基準にすると50歳では約50%、60歳では約66%も減少するといわれています。
  • 色の弁別能力は、20歳半ば頃が最も優れ、その後年齢が高くなるに従い、徐々に低下していきます。低下の度合いは個人差が大きいです。
  • 高齢者は、視野内に明るい光があると、まぶしさ(グレア)をより強く感じるようになります。

などなど

以前、3・2・1級を勉強していた頃は、色覚特性の項目を試験対策として覚えてはいたけれど、正直実感はなく他人事のように捉えていた気がします。それに高齢者の見え方については、もっとボリュームが少なかったように記憶しています。
時間を経た今、自分にも色々な項目が当てはまるようになってきて当事者なんだと自覚しました。

今までアクセシビリティやバリアフリーを特殊な方への配慮として捉えていましたが、そうではなく、年齢・性別・障害・国籍など関係なく全ての人が同じように過ごすことができることを目指すものなのですね。だから受講級の名称がUC(色のユニバーサルデザイン)なんだと思いました。

次からは様々な色の見え方について書いてみたいと思います。


人の眼について

最終的に「色」を感じるのは、「人」です。
「色」は眼に到達した光を処理することで認識することができるのです。

受光する


光は黒目「虹彩」の中心にある小さな穴「瞳孔」から、眼球の中に入り、ピントを調節する「水晶体」を通り、さらに「硝子体」を経て、眼の内側にある「網膜」という細胞に届きます。
「網膜」では、明るい所で働く「錐体」と、暗いところで働く「桿体」という2つの視細胞があり、光を受け取ります。
「錐体」には、長波長(主に赤)を感じるL錐体、中波長(主に緑)を感じるM錐体、短波長(主に青)を感じるS錐体の3種類があり、この3つからの情報が、色を感じる元となります。
ちなみに「桿体」は主に明暗(白黒)の情報を感じます。暗がりでもある程度見えるのは「桿体」が働くからです。


錐体の感度

反対色へ分類する


3つの錐体からの情報は信号となって「網膜」から脳の視覚情報を処理する部分を通って後頭部に届き「色」と認識されます。
脳に届く途中で、3つの錐体からの情報(LMS情報)が、赤と緑ならどっち、青と黄ならどっちかを2対の反対色と、明るさ(白と黒)の3種類のユニットで分類され信号として脳へ送られるのです。

反対色の原理は、4原色の考え方で、向かい合う色は同時に存在しないということで分類するようです。
例えば緑には黄色と青の要素はあるけど、赤の要素はない。(赤みの緑は存在しない)ということでこの考え方があるようです。

ちなみに、この反対色というのは、いわゆる補色とは少し違い、補色は色相環上で反対側に位置する色なので、黄色の補色は青紫です。


反対色

色の分析と統合をする


3種類のユニットから送られる信号を受けて、脳は「光」がどの色あい(色相)で、どのくらい明るく(明度)、どのくらいあざやかなのか(彩度)、そしてどの系統(ブルー系、ピンク系など)の色なのかの分類を行います。


光から色への処理ステップ

ここまでが「人」が「色」を見る(認識)機能についてです。この概念がわかれば、色覚特性のことを理解しやすくなると思います。


光と可視光線


電磁波と可視光の波長

「色」を考える上で「光」はとても重要です。
「光」は基本的には電磁波の一種で、波のように振動して進む性質があり、波長(波の山と山の間の長さ)で分類されます。

人間の目に見える波長は380から780nm(ナノメートル)で「可視光線」と言われています。可視光線は波長の短い方から、紫、青、水色、緑、黄、橙、赤と7色あり、これが虹の色です。
7色は、青紫から青を「短波長」、緑から黄色を「中波長」、橙から赤を「長波長」と分類します。

この波長の前後は人間の目には見えなくなり、波長が短いと紫外線やガンマ線・X線、波長が長いと赤外線やマイクロ波・電波(AM・FMラジオ、テレビ)や電気になります。


人間の目に見える「可視光線」には「自然光」と言われる太陽の光と、「人口光源」と言われる電球や蛍光灯の光などがあります。
それぞれの「光」には色味や明るさ、強さがあります。光の色味が「色」に影響します。


光と色温度

色味は「色温度」といいます。K(ケルビン)という単位で表します。
ちなみに「光」の明るさは「照度」で表し単位はルクス(lux)、光の強さはカンデラ(cd)、光の総量(光束)をルーメン(lm)というようです。
蛍光灯を買う際に「2100lm」と記載されています。電球のワットは消費電力量であり光の単位ではありません。

「色温度」という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、光の色味ということで例えば、蛍光灯の黄色味がかかった電球色や、青みがかった昼光色、中間の白色といった言葉で表現されています。
また、カメラの設定を少し触ると「ホワイトバランス(WB)」という名称で、色味を調整する機能があります。この数値が色温度(K)です。
設定を変えることで、設定した環境下の光の状態と同じになり、黄色味がかかったり青みがかった写真になります。


色温度

晴天の空が青く、夕焼け空が赤いのも波長や色温度と関係があります。
晴天の空は太陽の光が大気中を通る際に、短い波長の光(青色)がぶつかり(散乱)することで青く見えます。青色は波長(波と波の間)が短い分、大気中の水蒸気などの粒子にぶつかる確率が高くなり、また波長の短い光の方が散乱する性質が高くなるので、青色が空全体に広がります。他の色の光は粒子にぶつからずに太陽の光として目に届きます。

また夕焼け空の場合は、太陽が傾くことで太陽の光が目に届くまでの距離が日中に比べ長くなり、短い波長の光(青色)は散乱しきって届かず、あまり散乱せずに残った長い波長の光(赤色)の光が目に届きます。朝焼けや、地平線近くの月が赤くなるストロベリームーンも同じ原理です。

次は「光」を受ける「人」のことについて書いてみたいと思います。